111:大物の姿勢_5

蒼井華和は真剣な様子で言った。「当事者は物事の本質が見えないものですから」

橘忻乃「......」

結城詩瑶「......」

素晴らしい!

蒼井華和はカバンを手に取り、机の上の恋文も一緒に入れて、ゴミ箱の方へ歩いていった。

ざらざらと音を立てながら、中の恋文を全部捨てた。

ゴミ箱はたちまち一杯になった。

恋文を捨てたばかりのところに、一人の男子生徒が蒼井華和の前に来て、顔を真っ赤にしながら一通の恋文を差し出した。

「蒼、蒼井さん、受け取ってください」

蒼井華和は思春期真っ只中のこの男子生徒を見て、思わず手を伸ばして彼の頭を軽くたたき、年長者のような態度で「坊や、しっかり勉強して、大きくなったら国のために尽くすのよ」

そう言うと、彼女は席に戻った。

男子生徒は真っ赤な顔で自分のクラスに走って戻った。