112:南そもん、北村夢香

実は蒼井家が真緒を差し替えようとしていることを、如月家の親戚たちは早くから気づいていた。

如月志弘と早坂明慧の夫婦だけが現実が見えず、蒼井真緒が如月廷真と結婚すると本当に信じていた。

まったくの夢物語だ!

考えれば分かることだ。蒼井真緒がダメ人間に目もくれるはずがない。

だから、婚約パーティーの当日、如月大爺様以外は、如月志邦も妹の如月佳織も出席しなかった。

案の定、蒼井家は手のひらを返したように、河内市一の才女を田舎娘とすり替えてきた。

如月佳織の疑問に対して、早坂明慧も理解できた。

結局、以前の彼女も如月佳織と同じように、蒼井華和に対して誤解を重ね、華和からもらった美容丸さえ捨ててしまった。

だから、この話を聞いた時、早坂明慧が最初に思ったのは怒ることではなく、如月佳織に説明することだった。