105：静園さんの心の中の人_3

彼女は静園さんに、自分が外の俗物とは違うということを知らせなければならなかった。

それを聞いて、周防蕾香は頷き、笑って言った。「真緒、あなたの言う通りね。」

蒼井真緒は河内市一の才女と呼ばれるだけのことはある。

この器量、この見識は、並の人には及びもつかないものだ。

周防蕾香は続けて言った。「早速この良い知らせをお父さんに伝えに行かなきゃ。」

今回、蒼井真緒は止めなかった。

このような良い知らせは、確かに蒼井龍に伝えるべきだった。

……

一方。

如月廷真は車を運転して市場に着いた。

ここの環境はあまり良くなかった。

人々が行き交っていた。

至る所で値切り交渉をする叔父さんやおばさんたちの姿が見られた。

割れた椀を持った物乞いもいた。

如月廷真は眉をひそめた。本来は生鮮食品スーパーに行くつもりだったが、蒼井華和がここの塩水鵞鳥が大好きだということを思い出し、ここに来たのだ。