117:手術の準備_2

二人は前後に歩いていた。

蒼井華和は如月廷真の後ろについていた。

彼のコートはとても長かった。

彼女の足首とほぼ同じ高さだった。

このように見ると、彼女は大人の服を着た子供のようだった。

蒼井華和の視点から見ると。

男性の後ろ姿は背が高くすらりとしていた。

月明かりが彼の体に均等に降り注ぎ、禁欲的な中に冷たさが漂っていた。

そのとき、前を歩いていた男性が突然立ち止まった。

蒼井華和は止まれなかった。

ドン。

そのまま彼にぶつかってしまった。

彼の背中は壁のように硬かった。

蒼井華和は折れそうになった鼻を押さえながら、数歩後ずさりした。

「大丈夫?」

「うん......大したことないわ」蒼井華和の頭がぐるぐるしていた。

幸い彼女の鼻は天然のものだった。さもなければ、プロテーゼが飛び出していたかもしれない。