車から一人の女の子が出てきたからだ。
とても綺麗だった。
少し可愛らしい。
そして少し......蒼井華和に似ていた。
「お父さん、お母さん」如月廷真は二人の前に歩み寄った。
「おじさん、おばさん」蒼井華和も続いて挨拶した。
早坂明慧はようやく気づき、目を見開いて蒼井華和を見つめた。「華和!どうしてあなたも来たの!」
如月廷真が言った。「僕が迎えに行ったんです」
蒼井華和は続けて言った。「事情は全て把握しています。おじさん、おばさん、ご心配なく。如月お爺ちゃんの病気は私にお任せください」
蒼井華和が如月大爺様の治療に来てくれることに、二人は当然とても喜んでいた。
でも蒼井華和はこの混乱に巻き込まれるべきではなかった。
如月志弘は如月廷真を見て言った。「廷真、華和を連れてくるべきではなかった」