121:漢方医学界のNO.1

蒼井紫苑は蒼井華和が本当に蒼井紅音なのかどうか分からなかったが。

蒼井華和を見るたびに、心の中に危機感が満ちていた。

その上、蒼井華和の腕には確かに傷跡があった。

それが蒼井紫苑の蒼井華和に対する嫌悪感をさらに強めた。

だから。

絶対に蒼井大婆様に蒼井華和を会わせてはいけない、ましてや知り合いになることは許されない。

蒼井大婆様は篠崎澪とは違う。

篠崎澪なら誤魔化せばそれで済むけど。

でも蒼井大婆様はダメ。

蒼井大婆様はそう簡単には騙せない。

突然目の前に現れた蒼井紫苑を見て、蒼井大婆様は眉をひそめ、手で彼女を押しのけた。「邪魔よ」

蒼井紫苑の顔色が暗くなった。

やっぱりそうだ。

何をしても、蒼井大婆様は彼女を認めてくれない。

例えば今。

蒼井大婆様に温かいフヨウケーキを食べてもらおうと孝行を尽くそうとしたのに。