121:漢方医学界のNO.1

蒼井紫苑は蒼井華和が本当に蒼井紅音なのかどうか分からなかったが。

蒼井華和を見るたびに、心の中に危機感が満ちていた。

その上、蒼井華和の腕には確かに傷跡があった。

それが蒼井紫苑の蒼井華和に対する嫌悪感をさらに強めた。

だから。

絶対に蒼井大婆様に蒼井華和を会わせてはいけない、ましてや知り合いになることは許されない。

蒼井大婆様は篠崎澪とは違う。

篠崎澪なら誤魔化せばそれで済むけど。

でも蒼井大婆様はダメ。

蒼井大婆様はそう簡単には騙せない。

突然目の前に現れた蒼井紫苑を見て、蒼井大婆様は眉をひそめ、手で彼女を押しのけた。「邪魔よ」

蒼井紫苑の顔色が暗くなった。

やっぱりそうだ。

何をしても、蒼井大婆様は彼女を認めてくれない。

例えば今。

蒼井大婆様に温かいフヨウケーキを食べてもらおうと孝行を尽くそうとしたのに。

でも蒼井大婆様は?

直接彼女を押しのけた。

これが祖母のすることなの?

蒼井真緒は目を伏せた。

瞳の奥には失望の色が満ちていた。

蒼井大婆様は再び群衆の中を見渡した。

しかし、さっきの少女の姿はもうそこにはなかった。

蒼井大婆様は眉をひそめ、蒼井紫苑を見る目にはさらに嫌悪感が増した。

「お婆様、フヨウケーキです」蒼井紫苑は続けてフヨウケーキを蒼井大婆様の前に差し出した。

「要らないわ」蒼井大婆様は直接拒否した。

蒼井紫苑は心の底の悔しさを必死に抑え、目に涙を浮かべながら、「お婆様、昔はフヨウケーキがお好きだったじゃないですか?」

「今は好きじゃないの」蒼井大婆様は言った。

今好きじゃないなんてことはない。

蒼井紫苑にはよく分かっていた。蒼井大婆様は今フヨウケーキが好きじゃないのではなく、彼女という人間が好きじゃないのだ。

蒼井大婆様は蒼井紫苑のこの生きた心地もしない様子を見て、眉をひそめた。

蒼井紫苑はいつもこうだ。

彼女が何も言っていないのに、蒼井紫苑はもう目を赤くし始める。

まるで不当な扱いを受けたかのような態度で、まるで彼女という祖母が何か残酷なことでもしたかのように。

これも蒼井大婆様が蒼井紫苑を好きになれない理由の一つだった。

そのとき、篠崎澪が小走りでやってきた。

「紫苑!どこに行ってたの?中でずっと探してたのよ!」