119:祖孫の対面_3

しかし今は。

彼がこれらのものを蒼井華和の前に差し出しても、蒼井華和は一瞥もくれなかった。

この行為に、多くの大人たちは冷や汗をかいた!

「華和」と如月大爺様は蒼井華和を見つめながら言った。「よく考えたのか?」

蒼井華和は軽く頷いた。「はい、よく考えました」

外に立っていた如月佳織と如月志邦は心配で仕方がなかった。

蒼井華和が病室にこんなに長く居るということは、大爺様がきっと多くの良いものを与えたに違いない。

如月佳織は何度もドアをノックしようとしたが、我慢した。

そのとき。

ギィー。

病室のドアが開いた。

如月佳織が一番先に反応し、すぐに前に進み出て「お父さんはどう?」と聞いた。

如月志邦もすぐに近寄ってきた。

「如月お爺ちゃんの状態は良好です。ご心配なく」

如月佳織は蒼井華和を上から下まで見渡した。

結局、この田舎者を見くびっていたようだ。

如月志邦が真っ先に病室に駆け込んだ。「お父さん、当時は私と佳織が治療を拒んだわけではありません。私たちは夢野空さんまでお呼びしたんです!でも兄さんは夢野空さんを信用せず、夢野空さんを怒らせて帰らせてしまった。それがお父さんの容態を悪化させた原因です!すべては兄さんのせいです。兄さんさえいなければ、夢野空さんはきっとお父さんを治せたはずです!」

これを聞いた如月佳織はすぐに同調した。「次兄の言う通りです。当時、うちの芝乃はお父さんの病気を治すために、あちこちコネを使って、やっと夢野空さんを見つけたんです。でも兄さんと兄嫁は夢野空さんを信用しなくて……」

如月佳織が泣きじゃくる中、如月大爺様は聞くに耐えかね、怒鳴った。「もういい!私には耳があるんだ、是非はわかる!お前たちは私の財産が目当てなんだろう?今日みんながいる間に、私もまだ正気なうちに、今日こそ財産を分けることにする!」

年を取ると、多くのことが思い通りにならなくなる。

今後このような事態を避けるため、如月大爺様は早めに自分の手持ちの資産をすべて分配することを決めた。

彼らが気にかけて、恥ずかしい行為をすることを防ぐためだ。

この話を聞いて、如月佳織はすぐに元気を取り戻した。

如月志邦は見せかけの態度で言った。「お父さん、実はあなたの健康に比べれば、他のものは全く重要ではありません!」