薄い唇を軽く結び、少し冷たい表情を浮かべていた。
しばらくして、彼は蒼井華和の前に歩み寄り、手に持っていた飴細工のりんご飴を彼女に渡した。
「帝都特有の飴細工のりんご飴だ。作り方が他の地域とは違う。食べてみてくれ」
蒼井華和は手を伸ばして受け取り、頬にえくぼを浮かべながら「さっきはこれを買いに行ってたの?」
「ああ」如月廷真は軽く頷いた。
蒼井華和はりんご飴を一口かじった。
種が取り除かれていた。
一口で満足感が広がり、酸味と甘みのバランスが絶妙で、特有の香りも漂う。確かに普段食べるりんご飴とは違った。
「どう?」如月廷真が薄い唇を開いて尋ねた。
「とても美味しい」蒼井華和は頷き、一気に三つ食べた。
しばらくして、彼女はりんご飴を如月廷真に差し出した。「あなたも食べてみる?」