109:無双の第1位_4

Uターンと連続カーブまでもう少しの距離だった。

そのため、レーサーたちは全力で追い抜こうとしていた。

6号車は野田浩二を追い抜いたが、すぐに野田浩二に抜き返され、6号車も負けじと頑張った。

他のレーサーたちも互いを追いかけ合っていた。

ただ蒼井華和だけは極めて落ち着いていた。

まるで買い物でもしているかのように、全く焦る様子がなかった。

「10号を選ばなければよかった!」

「目が見えなくなったのか!彼女はレースに来た人には見えない!これで最下位だ!」

「腹が立つ!彼女は暗馬で、宝物だと思って、特別に10万円賭けたのに、これじゃパンツまで失うことになる!」

「......」

「迷った末に3号を選んでよかった。勝つ確率は高そうだ。」

すぐにUターンの場所に到着した。

皆、暗黙の了解で速度を落とした。

Uターンの後には連続したZカーブ、水路、そして断橋区間があるため.......

このようなコースでは追い抜くことは不可能だった。

現在、野田浩二が首位を走っていた。

2位の光棋不語は非常に不満で、一発勝負に出ようと考え、アクセルを踏もうとしたが、目前に迫るUターンを見て諦めた。

轟!

その時、巨大なバイクのエンジン音が空気を震わせた。

誰も反応する間もなく。

一台のバイクが後ろから猛スピードで突っ込んできた。

その速さといったら。

カメラも残像しか捉えられないほどだった。

「うわっ!彼女加速したぞ!」

「前はカーブだぞ、命知らずか?」

「何号車だ?」

「速すぎて見えない。」

「36号車しかいない、絶対36号車だ!」

「36号車はバカじゃないのか!加速すべき時に加速せず、加速すべきでない時に全力で加速する、死んでも自業自得だ。」

バイクレースは危険だ。

特にカーブでの追い抜き加速が危険なのだ。

今や、世界中を見渡しても、カーブで加速追い抜きができる人は数えるほどしかいないだろう。

「もうダメだ、36号車はおしまいだ!」

臆病な人々は、既に目を閉じていた。

現場の救助隊も待機していた。

しかし、このような状況では、生存者はほとんどいない。

救助隊も形式上待機しているだけだった。

蒼井華和はバイクに跨り、ハンドルを握り、顔には少しの緊張の色も見せなかった。