コンピューターの天才は少ないが、確かに存在する。
有名なハッカーHは、13歳で名を馳せた。
残念ながら。
Hは既に何年も表舞台から姿を消している。
「例外はないはずだ」と須藤悠翔は言った。
他の人なら奇跡が起こるかもしれない。
でも蒼井華和は......
つま先で考えても、あり得ない。
「わかった」と林凛夜は溜息をつきながら言った。「君が彼女じゃないと言うなら、監視カメラの映像を見続けよう」
そう言って、林凛夜は再生ボタンを押した。
監視カメラの映像が再び流れ始めた。
しばらく見た後、林凛夜は笑いながら言った。「時雨越兄、もしその人が本当に蒼井さんだったら、どうする?」
「馬鹿げている」須藤悠翔は林凛夜の言葉を無視するように続けた。「いつになったら真面目になるんだ?」
林凛夜は肩をすくめた。「時雨越兄、視野が狭すぎるよ」