136:蒼井大婆様の強烈な制裁!_6

蒼井陽翔は話しながら、まんたんに毛糸を差し出した。

まんたんは小さな前足を上げ、蒼井陽翔の手に向かってパッと一撃を加えた。

蒼井陽翔はすぐに手を引っ込めた。

しかし、手には爪跡が残っていた。

とても痛かった。

でも我慢できた。

蒼井陽翔は小さな缶詰を取り出し、「まんたん、缶詰を食べない?これは特別に人に頼んで海外で買ってもらったんだ。評判がいいらしいよ。食べてみない?」

缶詰の香りが鼻孔に染み込んできて、逃れようがなかった。

まんたんは舌なめずりをして、最後には一歩前に進み、ゆっくりと食べ始めた。

食べたくなかったのに!

でも敵の缶詰があまりにも美味しそうだった!

蒼井華和はダイエットのために、もう何日も缶詰を与えていなかった。ここは帝都だし、如月廷真というお人好しに缶詰をもらえる場所も見つからない。

まんたんはガツガツと食べ、あっという間に缶詰を平らげた。

小さな子が美味しそうに食べる様子を見て、蒼井陽翔も口角が緩んだ。

実は猫という生き物も、結構可愛いものだな!

蒼井陽翔は我慢できずにまんたんを撫でた。

その瞬間、まんたんは口を開けて彼の手に噛みついた。

やっぱり腹が立つ!

この仇は必ず返さねば子猫じゃない!

まんたんは噛んだ後すぐに逃げ出した。

蒼井陽翔が気づいた時には、もう姿が見えなくなっていた。

小さな奴は結構根に持つんだな!

蒼井陽翔は手の噛み傷を見て、全く怒る気にならず、むしろ心が軽くなった気がした。

背中に背負っていた何かの重荷が、一気に消えたような気がした。

蒼井陽翔は笑いながら上階に戻り、消毒液で傷口を消毒し、その後車で病院へ向かった。

猫も狂犬病ウイルスを持っている可能性がある。

だから、ワクチンを打ちに行かなければならない。

蒼井紫苑はSNSをスクロールしながら、蒼井大婆様のフォロワーが増えていくのを見て、心中穏やかではなかった。

蒼井華和に自分の風采を奪われるのは許せない。

そのとき、蒼井紫苑のLINEにメッセージが届いた。

蒼井真緒からだった。

【蒼井さん、こんばんは。】

このメッセージを見て、蒼井紫苑は軽く口角を上げた。そうだ。

蒼井真緒のことを忘れていた。

諺にもあるように、君子の敵を百人作るより、小人の敵を一人作る方が怖い。