蒼井陽翔は話しながら、まんたんに毛糸を差し出した。
まんたんは小さな前足を上げ、蒼井陽翔の手に向かってパッと一撃を加えた。
蒼井陽翔はすぐに手を引っ込めた。
しかし、手には爪跡が残っていた。
とても痛かった。
でも我慢できた。
蒼井陽翔は小さな缶詰を取り出し、「まんたん、缶詰を食べない?これは特別に人に頼んで海外で買ってもらったんだ。評判がいいらしいよ。食べてみない?」
缶詰の香りが鼻孔に染み込んできて、逃れようがなかった。
まんたんは舌なめずりをして、最後には一歩前に進み、ゆっくりと食べ始めた。
食べたくなかったのに!
でも敵の缶詰があまりにも美味しそうだった!
蒼井華和はダイエットのために、もう何日も缶詰を与えていなかった。ここは帝都だし、如月廷真というお人好しに缶詰をもらえる場所も見つからない。