146:これぞ他人の娘、ツンデレな蒼井パパ!(2更)_2

彼女のクラスメートはメイサーラティで来たのよ。

蒼井華和ね。

一生自転車の後ろに乗るのがお似合いだわ。

そう思うと、蒼井紫苑の目には一層得意げな色が浮かんだ。

こんな婚約者なら、蒼井華和の人生もこれまでね。

そう言って、蒼井紫苑は車の傍に立っているクラスメートを見た。「駿介、姉を送ってあげてくれない?」

真壁駿介は蒼井華和を一目見て、目に驚嘆の色を浮かべた。

紫苑の姉はあまりにも美しすぎる。

「もちろんいいよ」真壁駿介は頷いた。

自転車とメイサーラティ、頭のある人なら、どちらを選ぶべきかわかるはずよ。

この男、自転車で女の子を口説こうなんて?

まったく夢物語ね!

「結構です、ありがとう」蒼井華和は丁重に断り、後ろに乗った。「如月兄さん、行きましょう」

「ああ」如月廷真は軽く頷いた。

二人は長居せず、すぐに自転車で去っていった。

その姿は雪と風の中に消えていった。

真壁駿介は二人が去った方向を見つめ、興味深そうに尋ねた。「紫苑、あの人は誰?」

「私の姉よ」蒼井紫苑は答えた。

真壁駿介は目を丸くした。「ご両親が探し出したっていうあの人?」

田舎育ちだって聞いていたのに。

どうしてこんなに綺麗なの。

白いダウンジャケットを着て、雪の中に立っている姿は、まるで仙女のように人々を魅了した。

「うん」蒼井紫苑は頷いた。

真壁駿介は続けた。「お姉さん、意外と綺麗だね」

蒼井紫苑は軽く頷き、笑いながら言った。「そうね。でも、未来の義兄もかっこいいって気付かなかった?」

未来の義兄?

真壁駿介の目には信じられない色が浮かんだ。「お姉さんに彼氏がいるの?」

「彼氏じゃないわ」蒼井紫苑は首を振った。

「じゃあ、何?」真壁駿介は尋ねた。

蒼井紫苑は笑いながら言った。「婚約者よ。姉の河内市での婚約者」

真壁駿介は蒼井華和にもう婚約者がいるとは思わなかった。「さっきの人が婚約者?」

「うん」

真壁駿介は運転席のドアを開けながら、興味深そうに尋ねた。「婚約者なのに自転車に乗ってるの?」

「知らないの?」蒼井紫苑は神秘的な表情を作った。

「何を?」真壁駿介は尋ねた。

蒼井紫苑は続けた。「姉の婚約者は河内市の如月家の三男よ」

如月廷真と言っても知らない人がいるかもしれない。