真壁駿介は頷いて、「いいよ、雅乃。君が決めたなら、僕は尊重するよ」と言った。
西園寺雅乃は真壁駿介の腕を取り、彼の肩に頭を寄せ、口角を少し上げて「駿介、子供の名前は何にする?」と尋ねた。
これから、彼女と真壁駿介には子供ができるのだ。
実の子供ではないけれど、そう考えるだけで、とても幸せな気持ちになった。
真壁駿介は笑いながら「うん、名前は君に任せるよ。君が付けた名前なら、何でも気に入るさ」と言った。
「うーん、やっぱり駿介が付けてよ」真壁駿介はいつも彼女の言うことを聞いているので、西園寺雅乃も今回は真壁駿介に決めさせたかった。
時には、男のプライドを満たしてあげるのも大切だと思った。
真壁駿介は少し考えて、「実は母さんが既に子供の名前を決めていたんだ」と言った。
「何て名前?」西園寺雅乃は好奇心を持って尋ねた。
真壁駿介は「光継」と答えた。
それを聞いて、西園寺雅乃は思わず笑い出した。「今どき、光継なんて名前を付ける人がいるの?」
年配の人の考えは本当に独特だと思った。
真壁駿介の目の奥に一瞬、暗い影が走った。
一瞬のことだった。
西園寺雅乃は何を言いたいんだ?
彼が付けた名前を馬鹿にしているのか?
自分が高貴だとでも思っているのか?
気持ち悪いババアめ!
当時、西園寺雅乃がお金持ちで、ビジネス界でも少し名が通っていなければ、大学院を卒業したばかりの真壁駿介は絶対に西園寺雅乃を選ばなかっただろう。
なぜなら、彼らは全く違うレベルの人間だったからだ。
西園寺雅乃と知り合った時、彼女はまだ夜間大学に通っていなかった。おそらく大学院卒の自分と一緒にいると劣等感を感じたのだろう、夜間大学に通い始めた。
でも夜間大学で何が学べるというのか?
夜間大学なんて、三流大学よりもひどい。
堂々たる大学院卒の自分には、同じような学歴の女性が相応しい。
西園寺雅乃と結婚して何年も経つが、真壁駿介はずっと心の中で釈然としていなかった。
真壁駿介は心の中の怒りを抑えて、「気に入らないなら、別の名前にしよう」と続けた。
「光継は絶対に合わないわ。本当にダサすぎる!」西園寺雅乃は続けて「龍真はどう?」と言った。
「龍真?」真壁駿介は尋ねた。