如月廷真の心臓は激しく鼓動していた。
全身に力が漲っていた。
自分がこんなに速く自転車を漕げるなんて、今まで知らなかった。
この光景は、車の中で様子を見ていた若者も驚かせた。
彼は完全に呆然としていた。
「マ、マジかよ!」
こんなことも可能なのか?!
ナンパってこんなに簡単?
しかもこんな美人な子相手に。
実際に見なければ、誰が信じるだろうか?
勉強になった、勉強になった!
実践は真理を生むというが。
ちょうどそのとき、横を若い女性が歩いてきた。
若者は咳払いをして、「お嬢さん、乗っていきませんか?」
若い女性は彼を一瞥して、「送ってくれるの?」
「うん。」若者は頷いた。
若い女性は近づいてきて、「3号線の駅の近くまで行きたいんだけど、いくら?」
若者は先ほど見た光景を真似て、「料金はいりません。キスしてくれたら、無料で送ります。」