161:彼女は唯一の、華和の初キス!_2

如月廷真の心臓は激しく鼓動していた。

全身に力が漲っていた。

自分がこんなに速く自転車を漕げるなんて、今まで知らなかった。

この光景は、車の中で様子を見ていた若者も驚かせた。

彼は完全に呆然としていた。

「マ、マジかよ!」

こんなことも可能なのか?!

ナンパってこんなに簡単?

しかもこんな美人な子相手に。

実際に見なければ、誰が信じるだろうか?

勉強になった、勉強になった!

実践は真理を生むというが。

ちょうどそのとき、横を若い女性が歩いてきた。

若者は咳払いをして、「お嬢さん、乗っていきませんか?」

若い女性は彼を一瞥して、「送ってくれるの?」

「うん。」若者は頷いた。

若い女性は近づいてきて、「3号線の駅の近くまで行きたいんだけど、いくら?」

若者は先ほど見た光景を真似て、「料金はいりません。キスしてくれたら、無料で送ります。」

若い女性は笑いながら、「本当?」

まさかこの手が効くなんて!

若者は興奮して、すぐに頷いた、「もちろん!」

若い女性はバッグを持って彼の側に来て、若者が反応する間もなく、両手でバッグを持ち上げ、彼の頭を強く叩いた、「この変態!」

若者は殴られて呆然としていた。

目の前で星が飛び、泣きそうになった。

展開が想像していたのと違う!?

**

30分も経たないうちに、如月廷真は蒼井華和をマンションの入り口まで送り届けた。

疲れたのか暑さのせいか。

今、彼の心臓はいつも以上に激しく鼓動していた。

ドクドク。

一拍また一拍。

蒼井華和は後部座席から降りて、軽やかに、「うちでお茶でも飲んでいく?」

「も、もう遅いから、帰、帰ります。」

言葉を発した瞬間、如月廷真は自分でも呆れた。

どうして吃ってしまったんだ。

男らしくない!

蒼井華和は軽く微笑んで、「わかった、気をつけて帰ってね。」

「うん。」

「おやすみ。」蒼井華和は彼に手を振った。

「おやすみ。」

帰り道も自転車は相変わらず速かった。

如月廷真の心は今、とても興奮していた。

心臓が胸から飛び出しそうだった。

彼は如月家の別荘には戻らなかった。

代わりにあるマンションに向かった。

3LDK。

グレーブラックの内装で、彼自身のように、神秘的でクールな雰囲気だった。