173:朝比奈瑠璃の絶望、華和が出手!

朝比奈瑠璃は今、とても怖かった。

彼女はこのような経験をしたことがなかった。

一瞬のうちに、パニックと無力感が全身を襲い、花瓶を握る手が震えていた。

黒川振一はスーツを脱ぎ、そしてベッドの上に投げ捨てた。

彼の様子を見て、朝比奈瑠璃はさらに恐怖を感じた。

彼女は必ず自分を守らなければならない。

絶対に!

この時、朝比奈瑠璃は蒼井華和が天から降りてくることを切に願った。

しかし残念ながら。

そんなことはない。

黒川振一は朝比奈瑠璃を見つめ、「五美、俺たちはもう結婚したんだ。これからはお前は俺の女房だ。俺たちは家族なんだ。俺のことを嫌がってるのは分かってる。でも安心してくれ、必ずいい暮らしをさせてやる。村中の女が羨むような生活をな!」

「出て行って!」

黒川振一はため息をつき、続けた。「五美、もうそんなことは考えるな。俺たちは夫婦なんだ。この部屋はお前の部屋であり、俺の部屋でもある!俺は出て行かない!今夜、お前を俺の女にする!」

最後に、黒川振一の目に決意の光が宿った。

朝比奈瑠璃は喉を鳴らし、恐怖が四肢に広がり、目を赤くして黒川振一を見つめ、懇願するような口調で言った。「黒川兄貴、私を行かせてくれたら、必ず恩返しします!」

「行かせる?そんなことはできない!」この言葉は完全に黒川振一を怒らせた。「朝比奈瑠璃!お前は今や俺の女なんだ!俺の子供を産んでもらう!」

「嫌です!」朝比奈瑠璃は花瓶をしっかりと握りしめた。

彼女は黒川振一の子供を産みたくなかった。

彼女は学校に行きたかった。

彼女にはまだ叶えていない夢があった。

朝比奈瑠璃は涙を流した。

黒川振一はネクタイを外し、足を引きずりながら朝比奈瑠璃に近づいていった。「五美、安心しろ。これからはお前だけを大切にする。お前一人だけを。」

近づいてくる黒川振一を見て、朝比奈瑠璃の目には恐怖の色が満ちていた。ゆっくりと後ずさりし、背中が固い壁に当たるまで下がった。

もう下がれない!

黒川振一がすぐそこまで来ようとしているのを見て、朝比奈瑠璃は咄嗟の機転を利かせ、手にした花瓶を叩き割った。

バン!

黒川振一は朝比奈瑠璃の突然の行動に驚いた。彼が反応する間もなく、朝比奈瑠璃は破片を一つ取り上げ、喉元に突きつけた。「近づかないで!近づいたら、死んでやる!」