171:今まで負けたことがないのに、子供に負けてしまった!_2

ここまで話すと、黒川振一は銀行カードを取り出してテーブルに置き、「このカードには五十万ちょうど入っています!暗証番号は8が六つです。おじさん、おばさん、このカードを受け取ってください!」

これを見た周防翠子は慌てて立ち上がり、「強平!私は反対よ!」

この五十万は黒川振一が一生懸命稼いだものだった。

「母さん!私を死なせたいんですか!」黒川振一は周防翠子を見つめた。

この言葉に黒川幸太は驚き、それまで黙っていた彼はすぐにソファから立ち上がった。「黙りなさい!強平の言う通りにするんだ!」

そう言うと、彼は橘秀実と若松山根の方を向いて、「七宝父さん、七宝母さん、この件は強平の言う通りにしましょう。五十万はここにあります。残りの披露宴と演奏隊は私たちが負担します。強平は私たちの一人息子です。二人の結婚式を盛大にすることを約束します!」

黒川幸太が突然怒鳴ったので、周防翠子も何も言えず、同意するしかなかった。

彼女は黒川振一の性格をよく知っていた。

一人の女性のために、息子を死に追いやるわけにはいかない。

周防翠子はため息をつくしかなかった。

橘秀実は笑いながら言った。「あなたにそんな決定権があるの?黒川家では女が采配を振るっているって誰でも知ってるわよ?」

この言葉に黒川幸太は顔の置き所に困ったが、「七宝母さん、ご安心ください。男の約束は絶対です!」

「それなら」橘秀実は頷いて、「あなたたちがそれほど誠意を見せてくれるなら、この話はまだ検討の余地があるわね。」

これを見て、黒川振一はすぐに橘秀実を支えて座らせた。「おばさん、どうぞお座りください。」

若松山根と橘秀実は再びソファに座った。

黒川振一は銀行カードを橘秀実の手に押し込んだ。「おばさん、怒らないでください。母は本当にそんなつもりではないんです。誤解しないでください。」

橘秀実は黒川振一の方を向いて、「安心して、おばさんはそんな狭量な人間じゃないわ。」

この言葉を聞いて、周防翠子はますます腹が立った。

橘秀実のこの言葉は何を意味しているのか?

彼女を皮肉っているのか?

しかし今の周防翠子は我慢するしかなかった。

待っていろ。

橘秀実の娘が嫁いできたら、きっとしっかりと懲らしめてやる。

姑の厳しさを思い知らせてやる!