若松美智子は土方鉄平からひどい暴力を受けていた。
土方静由も良い生活を送れていなかった。
「お母さん!」土方静由は若松美智子を強く抱きしめた。
息子の土方静馬も傍らで怯えて大泣きしていた。
土方静馬がベルトを振り上げて打とうとした時、傍にいた篠崎警部がベルトを掴み、軽く引っ張ると、土方鉄平はそのまま地面に倒れた。
土方鉄平が状況を把握する前に、篠崎警部は手錠を取り出し、そのまま土方鉄平に掛けた。
土方鉄平は呆然としたあと、叫び始めた。「何の権利があって俺を逮捕する?自分の子供を教育するのが間違いなのか?」
「よく聞け、土方鉄平。お前は人身売買と児童虐待の容疑で逮捕する。これが逮捕状だ。署で話を聞くから、おとなしく従え!」
土方鉄平は怒鳴った。「自分の子供を叩くのがどうした?何の権利があって俺を逮捕する!この腐れ警察め!」
「大人しくしろ!」
土方鉄平はパトカーに連行された。
若松美智子は二人の子供を見て、「静由、静馬、今すぐ部屋に戻って荷物をまとめなさい。お母さんと一緒にここを出るわ」
土方静由は何も聞かずに、すぐに荷物をまとめ始めた。
彼女はずっとここから、この家から出たいと思っていた。
土方静馬も姉の後に続いて荷物をまとめ始めた。
若松美智子は部屋に入り、土方鉄平の金の隠し場所を探し始めた。
家の農作業のほとんどは若松美智子がやっていたが、穀物と交換した金は全て土方鉄平が管理し、若松美智子はこっそり内緒のお金を貯めるしかなかった。
毎回50銭や1元ずつ、長い時間かけて、若松美智子はようやく800元貯めた。
しばらくして、若松美智子はついに土方鉄平の金の隠し場所を見つけた。
全て新品の100元札だった。
ビニール袋に丁寧に包まれていた。
若松美智子は細かく数えなかったが、厚みから見て、2、3万元はありそうだった。
これがこの家の全ての貯金だった。
若松美智子は金を包み、着替えも何着か用意し、子供たちを呼んで車に乗り込んだ。
朝比奈瑠璃は車の中に座っていた。
そのとき、車のドアが開いた。
蒼井華和だった。
朝比奈瑠璃は急いで尋ねた。「華和、いつ出発するの?」
蒼井華和は優しく微笑んで、「司緒、この人を見て」
そう言って、横に一歩寄った。
若松美智子が二人の子供を連れて朝比奈瑠璃の前に来た。
「五妹」