一度に三キロのドッグフードを食べられる。
栄養を補給するため、蒼井華和は毎回羊乳パウダー、生卵三個、カルシウムサプリメントとミネラルを加えていた。
この犬は以前空腹に怯えていたのだろう。蒼井華和が器を置くと、すぐに大きな口で食べ始めた。
三キロのドッグフードは、数口で全て平らげてしまった。
食べ終わると、また哀れっぽく蒼井華和を見つめ、まだ満腹ではないような様子だった。
蒼井華和が反応しないのを見て、犬は前足を伸ばして器を叩いた。
その賢さに、蒼井華和は思わず手を伸ばして犬の頭を撫でた。「いい子、食べ過ぎは体に良くないわ」
モチ子は大きな頭で蒼井華和の手に擦り寄せた。
そのとき、如月廷真が食器を洗い終えてキッチンから出てきて、床にいる大きな黒犬を見て、興味深そうに尋ねた。「引き取るつもり?」