203:できるだけ遠くへ消えろ(2)

彼は、事態がこのような状況になるとは、まったく予想していなかった。

以前、蒼井華和が戻ってくる前は、両親は蒼井紫苑をこのように扱うことはなかった。

今や蒼井華和が戻ってきた。

両親の心の中に、まだ蒼井紫苑の居場所はあるのだろうか?

篠崎澪は蒼井陽翔をじっと見つめ、「今なんて言った!もう一度言ってみなさい!」

蒼井陽翔はもう一度繰り返した。「私は言いました。もし紫苑を追い出すのなら、私も一緒に追い出してください!」

態度は断固としていた。

「あなたは彼女のためを思ってないわ!むしろ害を与えているのよ!」篠崎澪は続けた。「あなたの次兄が本当に若松冬音と結婚したら、どうなるか考えたことある?」

これこそが、篠崎澪が蒼井紫苑を蒼井家から一時的に出て行かせようとする理由だった。