202:家から追い出され、絶縁_6

「若松琴璃。」

そのとき、院長が外から入ってきた。

声を聞いて、若松琴璃は笑顔で顔を上げた。「院長先生。」

院長は書類を手に持っていた。きっと自分の昇進の件について話すためだろう。

もうすぐ若松冬音が蒼井遥真と結婚し、自分も昇進する。若松琴璃は本当に興奮していた。

院長は若松琴璃の側に来て、「君は解雇だ。」

たった五文字だった。

若松琴璃は目を見開き、幻聴かと思った。「院長先生、冗談はやめてください。」

科の他のスタッフも皆呆然としていた。

若松琴璃が昇進するはずじゃなかったのか?

なぜ突然解雇されるんだ!

一瞬にして、全員が若松琴璃と院長の方を向いた。

院長の表情は真剣だった。「誰も冗談を言っているわけではない。」

「これが解雇通知書だ。」そう言って、院長は解雇通知書を若松琴璃の机の上に投げた。