200：真相は偽妊娠だった！_3

「実は、私たちは若松冬音のことを誤解していたかもしれない」

事が起こり始めた時、蒼井遥真も若松冬音のことを疑っていた。

若松冬音が罠を仕掛けたのではないかと。

名家に生まれた蒼井遥真は、できちゃった婚の例をたくさん見てきた。

自分もその一人になるだろうと思っていた。

だから、この数日間、蒼井遥真は若松冬音の妊娠をとても心配していた。

しかし。

彼は始まりは予想できたが、結末は予想できなかった。

若松冬音は確かに妊娠していたが、彼女は妊娠を武器に自分を脅すことはしなかった。

もし若松冬音の動機が不純だったら、中絶なんてしなかったはずだ！

もし彼女がこの件を公にしていたら。

蒼井家が彼女を無視できただろうか？

絶対に無理だ！

それを聞いて、蒼井紫苑は再び溜息をつき、「実は若松冬音が中絶したことは、私も意外だったわ。だって、彼女は前にお兄さんのことをあんなに好きだったのに。でも、彼女が本当に諦めたのかもしれないわ。お兄さん、若松冬音が諦めたんだから、あまり考え込まないで」

「この過去を忘れて、新しい人生を始めましょう。それが皆にとって一番いいわ」

蒼井遥真は首を振った。

彼はこの過去を忘れることができなかった。

一度も会えなかったその子のことを考えるだけで、申し訳なさで胸が潰れそうになる。

若松冬音に責任を取らなければ、一生心が安まらないだろう。

蒼井紫苑は続けて言った：「お兄さん、どんな選択をしても私は支持するわ。でも、私から若松冬音を説得することはできないわ。だって、私はお兄さんの幸せを願っているから」

「ありがとう、紫苑」

蒼井紫苑は笑いながら言った：「私たちは家族じゃない。何のお礼？お姉さんにもお礼を言うの？」

蒼井遥真も少し笑って、「じゃあ、自分で何とかするよ。紫苑、僕は部屋に戻るね」

「うん」蒼井紫苑は頷いた。

蒼井遥真の去っていく背中を見ながら、彼女は口角を上げ、携帯を取り出して若松冬音にメッセージを送った。

若松冬音は丁度帰宅したところだった。

このニュースを聞いて、とても興奮した。

あの蒼井遥真よ！

あの、子供の頃から憧れていた男性。

どの女の子が、ずっと片思いしていた人と結婚したくないだろうか？

最も重要なのは、蒼井遥真には素晴らしい家柄があることだ。

蒼井家は帝都第一の名家だ。