今はもう蒼井遥真がプロポーズするかどうかの問題ではない!
彼女が蒼井遥真と結婚したいかどうかの問題なのだ。
彼女が望みさえすれば。
いつでも蒼井遥真と結婚できる。
プロポーズ!
その言葉を聞いて、若松奥さんはすぐに若松冬音の方を振り向いた。「冬音、蒼井家ニ番坊ちゃんがプロポーズしてきたら、絶対に断っちゃダメよ!」
「分かってるわ」
若松奥さんは目を見開いた。「あなた、もしかして一度断ったの?」
「そうよ」若松冬音は頷いた。
若松奥さんは信じられない表情を浮かべた。
若松冬真はこの世界は狂ってしまったに違いないと思った!
蒼井遥真が若松冬音にプロポーズするなんて!
まさに太陽が西から昇るようなものだ。
若松冬音と比べて、若松冬真の方がずっと冷静で、続けて言った。「冬音、一つ忠告しておくわ。蒼井家は普通の家庭じゃないわ。もし彼らの前で小賢しいことをしたら、必ず痛い目に遭うわよ!」
若松冬音には分かっていた。若松冬真は彼女を妬んでいるのだと。
彼女は自分がこんなに良い結婚ができることを妬んでいるのだ!
彼女と若松冬真は、姉妹であり、競争相手でもある。
幼い頃から、彼女たちが最も多くしてきたことは互いに張り合うことだった。
それを聞いて、若松冬音は冷ややかに鼻を鳴らした。「どうせ私の結婚相手の方があなたより上よ!あなたは一生私を超えることはできないわ!」
若松冬真が蒼井琥翔と結婚でもしない限り。
明らかに、それは不可能なことだ!
蒼井遥真は夜明けから日が暮れるまで待ち、ようやく若松冬音が出てきた。
若松冬音を見て、蒼井遥真はすぐに前に歩み寄った。
「冬音」
若松冬音は続けて言った。「こっちに来て」
蒼井遥真は若松冬音の後を追った。
家族に見えない場所に来て、若松冬音はようやく口を開いた。「言うべきことは全て言ったわ。あなたはいったい何が望みなの?」
「私の言葉は変わらない。結婚しよう」蒼井遥真の目には真剣な表情が浮かんでいた。
「無理よ!」
蒼井遥真は続けて言った。「冬音、信じてほしい。このことは慎重に考えた上でのことだ。分かるだろう、私は軽々しく言っているわけではない」