214:善悪には報いがある_6

蒼井陽翔は全く慌てていなかった。

華姉との契約解除を機に、自分のスタジオを設立して独立するチャンスだった。

華姉のことは。

後悔しても泣き場所もないだろう。

華姉は状況が分かっていない。

彼女は大木に依存して生きているネナシカズラに過ぎない。

ネナシカズラが大木から離れたら、結果は一つしかない。

死。

彼女には死ぬしかない。

「手続きを?」華姉も蒼井陽翔がこんな態度をとるとは思わなかった。続けて言った:「陽翔、感情的になるなと忠告しておくわ。」

華姉は結婚して長年子供がいなかった。この数年間、蒼井陽翔を実の息子のように思っていた。

彼女は蒼井陽翔が後悔するのを見たくなかった。

「感情的になんてなっていません」蒼井陽翔は続けた:「華姉、これだけ長い付き合いなら、私の性格はよく分かっているはずです。」

そう言って、蒼井陽翔はさらに続けた:「僕が失敗して後悔するのを見たいんでしょう?でも、それは永遠にありません!本当に状況が分かっていないのは、あなたの方だからです。」

後悔するのは華姉の方だ。

華姉は眉をしかめ、「分かったわ。もう決心がついているなら、私も無駄な話はしないわ。明日の午後、会社に来てちょうだい。」

「明日の午後じゃなくて、今日にしましょう。今すぐ会社に行きましょう。」蒼井陽翔の態度は断固としていた。

華姉は最初、蒼井陽翔を説得しに来たのに、まさか契約解除という道を歩むことになるとは思わなかった。

「後悔さえしなければいいわ。」華姉は言った。

蒼井陽翔は華姉の後に続いた。

彼が後悔するはずがない!

むしろ、華姉が契約解除を後悔するのではないかと心配だった。

結局のところ、彼の地位はそこにある。

今日の芸能界での彼の地位では、マネージャーなど必要ない。

会社があることが、むしろ負担になっていた。

すぐに、二人は会社に着いた。

華姉は法務部に契約解除の草案を作らせた。

法務部の効率は高かった。

30分も経たないうちに、秘書が契約書を持ってきた。「華姉。」

秘書は契約書を華姉に渡す時、蒼井陽翔を一瞥した。

華姉は契約書を受け取り、ざっと目を通してから言った:「最近、会社で三つの広告契約と二つのバラエティ番組の撮影があるわ。」

蒼井陽翔は言った:「違約金を払います。」