215:蒼井紫苑、崩壊の極み!(2更)

蒼井紫苑は目の前のアルコールの臭いがプンプンする、無精ひげを生やした中年男を見て、全身の血が逆流するような感覚に襲われ、背筋に冷や汗が次々と浮かんできた。

まさか。

これは......

これが高城桂子の言っていた、酒と賭博と女に溺れたクズ男。

榊原満山?

いいえ!

絶対に違う。

こんな父親なんていない。

蒼井紫苑は榊原満山の手を振り払った。「知りません!あなたなんて全然知りません!離れてください!」

榊原満山は簡単には蒼井紫苑を逃がすつもりはなかった。「芳乃、私はお前の父親だぞ!お前が良い子だということは分かっている!確かにこれまでお前を育ててこなかったが、ずっとお前のことを気にかけていたんだ!全ては、あの売女のせいだ。あの女のせいで、親子なのに親子として認め合えなかったんだ!」