212:身内の恥を清め、関係を断つ_3

悪毒な狼め!

なるほど。

なるほど、蒼井紫苑が蒼井華和を探し続けても、何の結果も得られなかったわけだ。

そうか。

そうか、彼女は最初から蒼井華和を見つける気などなかったのだ。

蒼井華和がこの世から消えてしまえばいいと願う人間が、本気で探すはずがない。

「この悪毒な女!」今の篠崎澪は、蒼井紫苑を殺してしまいたいほどだった。

憎しみの他に、後悔があった。

篠崎澪は自分で直接探さなかったことを後悔していた。なぜ人探しを蒼井紫苑に任せてしまったのか!

さらに、あの時もっと用心深くすべきだった、白眼狼を家に連れて帰ってしまったことを後悔していた。

「お母さん、お母さん!私もどうしてこうなったのか分からなくて......」今の蒼井紫苑は、はっきりと分かっていた。今の彼女にできることは、全てを否定し、自分を被害者として描くことだけだった。これら全ては高城桂子がしたことで、自分とは何の関係もない、自分は無実だと。