娘を死なせたのは彼女だった。
弔問に来た人々も橘艶子を慰めようとした。
前を向くように諭した。
「莉々のお母さん、悲しまないで。莉々はただ早めに天国に行っただけですよ」
「そうね」
「莉々ちゃんは天国で、お母さんがこんなに悲しんでいるのを見たくないはずです」
「……」
橘艶子はそのまま氷の棺の前に跪き、涙が一滴また一滴と落ちていった。
蒼井華和は軽くため息をついた。
この母親をどう慰めればいいのか、まったく分からなかった。
モチ子は蒼井華和を見上げてから、また氷の棺の前に歩み寄り、前足を上げて棺を叩いた。
棺の中の人が何の反応も示さないのを見て、また「ワン」と一声鳴いた。
しかしモチ子がどれだけ鳴いても。
榊原詩々は以前のように笑顔でモチ子の頭を撫でることはできなかった。