春野母は首を振って、「まだよ。私も焦っていないわ。彼に自分で決めさせましょう」と言った。
春野母は開明的な母親で、何事も子供の決定を尊重していた。
たとえ子供が結婚も出産もしなくても、彼女は支持していた。
人生は一度きり、一番大切なのは自分が幸せであることで、他人の目から見た幸せではない。
若松おばが生姜を春野母に渡すと、春野母はお礼を言って帰っていった。
こちらでは、若松おばが家に戻ると、娘の若松晴香が尋ねた。「お母さん、今の春野おばは生姜を借りに来たの?」
「生姜を借りるのは口実よ」と若松おばは笑って言った。「息子が帰ってきたことを自慢しに来たのが本当の理由よ!」
それを聞いて、若松晴香も驚いた。「春野宴真が帰ってきたの?」
「ええ」
若松晴香は続けて言った。「まさか、まだ独身なの?」