219:現実を知り、蒼井陽翔崩壊!_3

蒼井陽翔は首を横に振った。

その時、取調室のドアがノックされた。

コンコンコン。

「入れ」早坂警部は顔を少し上げた。

返事を受けて、一人の影が外から入ってきた。「早坂警部、新しい発見がありました」

早坂警部はすぐに理解し、外へ向かった。

「橘君、どんな発見だ?」

橘は早坂警部を一瞥し、続けた。「蒼井紫苑さんの家のリビングの監視カメラに、蒼井陽翔と被害者が揉めている映像が見つかりました」

「見せてくれ」早坂警部は即座に橘の後を追った。

事務所に着くと、橘は同僚にその監視カメラの映像を早坂警部に見せるよう指示した。

映像の中で、蒼井陽翔は既に感情を抑えきれず、キッチンから包丁を持ち出し、怒りに任せて榊原満山を殺そうとしていた。

幸い、蒼井紫苑が蒼井陽翔の手から包丁を奪い取った。

最後に、蒼井陽翔は榊原満山を指差しながら脅しの言葉を吐いた。「もし紫苑をいじめたら、お前を殺すぞ!」

映像を全て見終わった早坂警部は顎を撫でながら、「蒼井陽翔には殺人の動機があったようだな」と言った。

そう言って、早坂警部は尋ねた。「この映像はいつのものだ?」

「三日前のものです」と橘は答えた。

早坂警部は頷いた。

橘は早坂警部を見上げ、続けた。「私も蒼井陽翔には殺人の動機があったと思います。だって、彼は榊原満山をあれほど憎んでいましたし。あの日、蒼井紫苑が止めていなかったら、もしかしたら榊原満山を殺していたかもしれません!」

早坂警部は目を細めて言った。「人には衝動的な時があるものだ。その衝動が過ぎれば、そんな考えは消えてしまうものだ!被害者が最近誰と会っていたか調べろ!それと被害者の人間関係も調査しろ。篠原朱音のことだが、彼女を呼んで事情聴取をしてくれ」

篠原朱音は蒼井紫苑の親友だった。

すぐに、証人の一人である篠原朱音が警察署に召喚された。

「お名前は?」

「篠原朱音です」

玲姉もこの事件を担当する警察官の一人だった。

彼女は柚木浩流と取調室のテーブルに座り、篠原朱音の資料を見てから彼女に向かって尋ねた。「年齢は?」

「十九歳です」篠原朱音は初めて警察署で事情聴取を受けるため、緊張せずにはいられず、時々周りの警察官を見上げていた。

心の中では緊張と興奮が入り混じっていた。