第20章 警察を呼びましょうか?

青筋の浮き出た荒い手が鉄の棒を持ち上げ、夏川清美の後頭部めがけて振り下ろした。全力で振り下ろされたその一撃は、命までは取らないまでも、半身不随にするには十分な力だった。

地面に倒れていた林夏美はそれを見て、驚いていた表情が和らぎ、夏川清美に向かって不気味な笑みを浮かべた。

夏川清美は眉をひそめた。

ドン!

鈍い音と共に棒が振り下ろされ、激痛が走った。

言葉では表現できないほどの痛みに、林夏美は既に骨折していた足を抱えながら、止めどなく涙を流した。彼女は信じられない様子で目を見開き、山口一幸を指差して叫んだ。「このバカ野郎!」

ガラン!

林夏美の罵声と共に、鉄の棒が地面に転がり落ちる音が響いた。一幸は慌てふためいて林夏美の前に這いつくばり、「お嬢様、大丈夫ですか?」