夏川清美は三秒間呆然としたあと、自分が間違いを犯したことに気づいた。
今の彼女は林夏美、一年生で休学した医学生なのに、どうして一目で結城陽祐の体調を判断できたのだろう。
そうだ、彼の詳しい病状を知るには、結城陽祐のカルテを確認する必要がある。
結城陽祐のカルテと言えば、清美には印象があった。
過労死する前、次の手術の患者が結城陽祐だったような気がする。
あの時、先輩が京都で名を馳せたこの二少爺のことを特に強調していたが、彼女は全く気にせず、ただの普通の患者として扱っていた。
誰が想像できただろう、死んでこの男性とより深い関わりを持つことになるとは。
これは人と人との縁が運命づけられているということなのだろうか?
例えば彼女と結城陽祐は、患者と医者の関係に運命づけられているのかもしれない。