第45章 厚かましくも堂々と

翌日。

健二は直接、春江花月荘の不動産コンサルタントを結城家の本邸二階の応接室に案内した。

夏川清美は簡単に自分の要望を伝え、カードを相手に渡した。そのとき結城執事が入ってきて、「林さん、お父様が一階でお呼びです」と告げた。

「手続きを頼むわ」夏川清美は健二が連れてきた人物を信頼していた。そう言って立ち上がり、「ありがとう、結城執事。すぐに行きます」

昨日、林富岡は一方的なメッセージを送ったが返信がなく、その後何度か夏川清美に電話をしたが誰も出なかった。人に聞いて、林夏美が確かに結城家の本邸にいることを確認し、一晩我慢した後でついに訪ねてきた。

夏川清美が降りると、結城お爺さんはタイミングよく立ち上がった。「林社長と清美さんでゆっくり話してください。私は久美を見てきます」

結城執事は急いでお爺さんに付き添って階段を上がった。

結城家の一階の応接室には突然、夏川清美と林富岡だけが残された。

二人とも言葉を交わさなかったが、結城お爺さんの姿が階段の向こうに消えると、林富岡は夏川清美に向かって平手打ちを振り下ろした。

夏川清美は太った体をしているものの、もはや元の体に転生したばかりの頃とは違っていた。魂と体はすでに調和し、この数日間、赤ちゃんに授乳した後、久美が寝ている間を利用して前世で何年も学んだ太極拳を練習し、体の柔軟性を高めていた。

さらに、彼女は普通の人よりも感覚が鋭かったため、林富岡の平手打ちが当たる前に、すでに避けて横に立ち、冷たい目で見つめていた。

林富岡は空振りし、怒りは更に増した。「よくも避けたな?」

「避けないで打たれるべきだとでも?あなたは恥知らずかもしれませんが、私はそうはいきません」夏川清美は冷淡に返したが、それは林富岡を激怒させそうになった。

しかし、ビジネス界で長年経験を積んでいただけに、本当に愚かではなく、夏川清美の言うことが正しいと分かっていた。

今日、結城家の本邸で娘を殴れば、もはや林家の私事ではなく、結城家の面子を潰すことになる。

怒りを必死に抑えながら、明らかに変わってしまった夏川清美を見つめ、「お前は結城家で産後ケアをしているのか?お前の姉は六月に正陽様と婚約するんだぞ。お前が今、結城家の使用人になって、姉をどういう立場に置くつもりだ。林家の面子はどうなる?」