翌日。
健二は直接、春江花月荘の不動産コンサルタントを結城家の本邸二階の応接室に案内した。
夏川清美は簡単に自分の要望を伝え、カードを相手に渡した。そのとき結城執事が入ってきて、「林さん、お父様が一階でお呼びです」と告げた。
「手続きを頼むわ」夏川清美は健二が連れてきた人物を信頼していた。そう言って立ち上がり、「ありがとう、結城執事。すぐに行きます」
昨日、林富岡は一方的なメッセージを送ったが返信がなく、その後何度か夏川清美に電話をしたが誰も出なかった。人に聞いて、林夏美が確かに結城家の本邸にいることを確認し、一晩我慢した後でついに訪ねてきた。
夏川清美が降りると、結城お爺さんはタイミングよく立ち上がった。「林社長と清美さんでゆっくり話してください。私は久美を見てきます」