第116章 夏川清美の隠された身分

健二は夏川清美が何をしようとしているのか分からなかったが、さらに分からないのは研究室の金庫は機密性の高いものだったはずなのに、この清美さんがどうやって簡単に開けられたのかということだった。

それに先ほどのドアも、彼が気を失う前に何度も試したのに開かなかったのに、彼女はカチッと一発で開けた。これは不思議すぎる!

もしかして清美さんの隠れた正体は錠前の達人?何か特殊な開錠技術を持っているのか?

疑問に思っていた健二は、夏川清美が自分の静脈に注射を打つのを見て、口を大きく開けた。「清美さん……」

一体何を注射されたんだ!

「行きましょう」夏川清美は注射器を健二のポケットに入れた。

健二は訳が分からず夏川清美を見つめた。

「ああ、解毒剤よ。一般的な中毒なら解毒できるわ」夏川清美は一言説明した。