第138章 人生の一大難題

藤堂さんは育児室のドアを閉めた。

沢田浩司たちの視線を遮り、事情を簡単に夏川清美に説明した。

夏川清美は驚いた。「結城陽祐さんはあなたの家族の事件の翌日にもう知っていたんですか?」

「はい、あの時私は車の中で怪我をして、二少は表向き私に休暇を与えましたが、実際は私の心の整理をさせるためで、感情的になって事態を漏らすことを恐れたんです」と藤堂さんは説明した。

「なるほど」夏川清美は思いもよらなかった。あの日、結城陽祐が木村久美を利用して結城家の三叔父を陥れた時、こんな深い意図があったとは。

彼は蛇を引き出すだけでなく、藤堂さんを刺激して真実を話させようとしていたのだ。

一方で打撃を与え、一方で飴を与え、藤堂さんの家族の安全を確保しながら、藤堂さんに木村久美の世話を全うさせ、他人に任せることで生じる危険を心配する必要がないようにした。