第163章 林お父さんの選択

鈴木末子は林富岡の腕を掴み、体を寄せながら「富岡さん、そんなに衝動的になってはいけません。今日は清美ちゃんの婚約パーティーだけでなく、夏美ちゃんのパーティーでもあるのを忘れないで」と言った。

林富岡は黙っていた。この数年、夏川清美のことは好きではなかったが、それでも若雅との唯一の子供だ。もし何か起これば、説明がつかない。

鈴木末子は林富岡の心中を察したかのように、声を潜めて優しく分析した。「あなた、清美ちゃんのことを心配しているのはわかります。でも今、結城お爺さんに会いに行くのは…清美ちゃんが無事なら良いですが、もし何かあったら?清美ちゃんの婚約式が行えないからといって、夏美ちゃんと二少様の婚約まで諦めなければならないのですか?」

「でも清美が…」

もし佐藤清美が本当に君陽荘園で亡くなっていたら、二少様と夏美ちゃんの婚約式も当然行えなくなる。

「あなた、安心して。清美ちゃんは運の強い子だから、きっと大丈夫です。それに…たとえ何かあったとしても、今から行っても間に合わない。それより夏美ちゃんと二少様の婚約を済ませましょう。今日はご覧の通り、大物ばかりいらっしゃってますし…」ここで鈴木末子は言葉を濁した。

案の定、林富岡の表情が変わった。

「あなた、これもあなたと会社のために…」

「もう少し考えさせてくれ」

……

一方その頃。

槙島秀夫は林富岡との電話を切り、暗い表情を浮かべていた。

婚約パーティーがまもなく始まるというのに、花嫁がいない。

しかも結城財閥の婚約パーティーは進行中で、彼の計画は全て水の泡になりそうだった。クズ男と呼ばれるのは構わないが、人命が関わるとなると話は別だ。

これからどの名家が娘を彼に嫁がせようとするだろうか?

「息子よ、どうすればいい?」槙島家の両親も不安な表情を浮かべていた。

結城家の婚約式を避けるため、槙島家の式は1時からの予定で、今はもうすぐ12時だった。

槙島秀夫は警察に林夏美の状況を尋ねたが、完全に無視された。

頭を抱えている間にも、ネット上では彼と林夏美、山田麗との豪華な三角関係に強い関心が集まり、議論は続々と広がっていった。

そんな混乱の最中、情報筋から、山田麗のファンが激怒して林夏美を殺害し、現在警察に連行されているという情報が流れた。

ざわめきが起こった!