第162章 夏美ちゃんは真の鳳凰になる

結城家の婚約パーティーは、この事件の影響を受けることなく、依然として整然と進行していた。

野村越は結城陽祐の個人秘書として、二少の代わりに来賓を迎えていた。来客は信州市、さらには京都の上流階級の人々で、一人一人が軽視できない存在だった。

ホテルの自動ドアでの銃撃事件は、まるで何も起こらなかったかのようだった。

十数人の女性と山田麗は警察に連行され、槙島家は混乱に陥っていたが、もう一方では歓声と笑い声が響いていた。

銃撃を受けた健二でさえ、弾丸を取り出した後、二少が林夏美のために特注したウェディングドレスを7階に届けるよう手配していた。

林夏美の化粧室は2階に設置されていた。

誰も結城家のこの婚約パーティーに何か問題が起こるとは思っていなかった。

林富岡と鈴木末子は群衆の中を行き来し、時折酒を勧められ、二人とも顔を紅潮させていた。特に林富岡は、庶民の出身で、自力で成功を収め、矢崎家の令嬢と結婚してから初めて上流社会に足を踏み入れた。