第164章 私の恋に手段はいらない

人は外見で人を判断しがちだ。

太っていることは醜く、自制心がないことを意味し、心が外見に表れるとされ、お金持ちであれば原罪となる。

金持ちの太った人は横暴で、わがままで、すべての罰は当然のことと見なされる。

ネットユーザーは何も知らないのに、完全な物語を想像することができる。

槙島秀夫と林夏美が火に油を注いだことで、真実は何であれ重要ではなく、悪人に天罰が下ることがネットユーザーを満足させるのだ。

しかし林夏美は違った。林夏美の正体が暴かれた後、みんなすぐに彼女が天使のような存在だと気付いた。

林家の本当のお嬢様で、幼い頃から品行方正で優秀、トップの成績で长野県立大学演劇科に入学し、2年生の時には既に多くのドラマや映画に出演していたが、決して宣伝や話題作りをせず、美しく優しく控えめで、そして今日は結城家の次男との婚約パーティーだった。

ネットユーザーは結城陽祐を知らなくても、結城家を知らないはずがない。

国内で有名な結城グループは、国内製薬業界の最大手企業で、傘下の病院チェーンは全国に展開し、最近では私立病院や研究所に多額の投資を行い、同時に医療分野での人工知能の応用開発を進めており、成功すれば人類に恩恵をもたらし、医学の発展を推進することができる。

そして結城陽祐は結城家の当主に後継者として選ばれたと言われており、いかに尊い存在であるかが想像できる!

結城家のような名家が後継者の妻を選ぶには、必ず慎重に選考するはずだ。林家はお金持ちとはいえ、結城家の足元にも及ばない。林夏美がいかに優秀であるかが、結城家に認められた理由だろう。

すぐに林夏美の以前のドラマの場面写真が掘り起こされ、数十万のボットアカウントの中に、突然大量の観客が現れ、彼女の幸運にあやかろうと、彼女を女神として崇拝し始めた。

林夏美はメイクを直し、Weiboをスクロールしながら、抑えきれない笑みを浮かべていた。意図的に育てた花は咲かず、何気なく植えた柳が茂るという言葉通り、以前彼女は林富岡に頼んでコネを使い、いくつかの映画やドラマに出演させてもらった。

しかし林富岡は信州市での人脈も財力も平凡で、三流の仕事しか見つけられず、撮影したものは放送規制に引っかかるか、全く人気が出なかった。やっと『狐妖』という作品が人気を博したが、彼女の存在感は薄かった。