夏川清美の頬が目に見えて赤くなり、結城陽祐の露骨な視線に怒りで震えていた。しかし、抱いている赤ちゃんは彼女の怒りを感じ取れず、むしろ一層力強く吸い付いていた。
静かな部屋の中で、久美の授乳音が際立って聞こえ、空気が妙に気まずくなった。
結城陽祐は藤堂さんが出てきたのを見て、夏川清美が授乳を終えたと思い込んでいたが、入室するとこの見慣れた光景に遭遇し、無意識に薄い唇を引き締めた。
前回とは違い、今回は久美が楽しそうに吸い付いており、豊かな景色の半分を隠していたが、その美しさは損なわれていなかった。
前回の記憶が脳裏に残っていたが、今回は結城陽祐も冷静さを保ち、夏川清美の怒りの視線の中でゆっくりと車椅子を回転させた。
医療バッグを持った主治医が入ろうとした時、二少爺が動かないのを見て尋ねようとしたが、長い手がドアをバタンと閉めた。