第196章 この妖怪はまた何をしているのか？

儀式が終わり、シャンパンが開けられ、祝砲が鳴り響き、赤い花びらが雨のように降り注ぐ中、青空と白い雲、緑の芝生の間で、まるで美しい絵画のような一コマが広がっていた。

結城陽祐は夏川清美の手を握り、1メートルの高さのフォンダンケーキを切り分け、参列者たちの真偽入り混じった祝福の中で、今日の婚約式は幕を閉じた。

来賓たちは侍者に案内されて宴席へと向かった。

結城お爺さんはウェディングドレス姿の夏川清美を見つめ、さらに車椅子に座る孫の蒼白い顔を見て、軽くため息をつきながら言った。「一緒になると決めたからには、後悔はできないよ。うちの結城家では離婚なんてことは認めないからね。」

そう言って夏川清美に贈り物を渡した。一対の翡翠の腕輪だった。

元々は林夏美に贈るつもりだったものだったため、サイズは当然合わず、急場しのぎだった。結城お爺さんは少し申し訳なさそうに、「突然のことで、爺さんの準備が不十分だった。後でもっと素敵なものを作らせるよ。」

「ありがとうございます、お爺さま。」夏川清美は気にする様子もなく、優しく感謝の言葉を述べた。

今日の突然の出来事は、結城お爺さんはもちろん、当事者である彼女自身も予想していなかった。

「お爺さん、僕の贈り物は？」結城陽祐はお爺さんが贈り物を渡し終えて立ち去ろうとするのを見て、半ば冗談めかして尋ねた。

「ふん、ないよ。儀式が終わったんだから、さっさと病院に戻りなさい。」お爺さんは怒ったように孫を睨みつけながら、思わず尋ねた。「加藤院長はいつ戻ってくるんだ？お前の手術はこれからどうするつもりだ？妻も子もいる身なんだから、責任感を持ちなさい。この老いぼれに押し付けようものなら、ぶん殴るからな。」

「お爺さん、本当にそんなことできますか？」結城陽祐は尋ね、その類まれな美貌の顔に、からかうような笑みを浮かべた。

結城お爺さんは孫を強く睨みつけ、プライドを保ちながら鼻を鳴らした。「さっさと病院に戻りなさい。」

「はい、はい、はい、ゴホッ、ゴホッ……」話している最中に結城陽祐は咳き込み始めた。

お爺さんの表情が緊張する中、結城家の数人が近づいてきた。彼らが何か言う前に、結城陽祐が胸を押さえて呼吸困難な様子を見せ、顔色はますます蒼白くなっていった。