第198章 あなたは陽祐さんの福の星

秋山綾人の興奮を結城陽祐は完全に理解できたが、説明するつもりはなかった。

「私の体調のことを、お爺さんに説明してくれ」結城陽祐の主治医として、秋山綾人はお爺さんから深い信頼を得ていた。

秋山綾人に結城陽祐の体調を説明させることで、より信憑性が高まり、同時に秋山綾人を落ち着かせる効果もあった。

案の定、結城陽祐の言葉を聞いた秋山綾人は、この出来事が信じがたいものの、あり得ないことを全て排除すれば、残された一つがどんなに信じがたくても、それが事実だと気付いた。

彼は正陽様の主治医として、手術には参加していなかったものの、開胸後に加藤院長が退室し、研究室には正陽様と生体供血者だけが残されたのを目撃していた。

今や正陽様の心臓機能が正常に回復しているのは、自然治癒であるはずがない。