「久美ちゃん、いい子だね。すぐにおっぱいあげるからね」夏川清美は子供をあやしながらベッドの前に座った。
少し居心地悪そうに背筋を伸ばした。二人は婚約式を終えたばかりで、子供も生後3ヶ月になるが、よく考えてみれば恋人同士ですらなかった。
親密な行為など論外だった。
しかし抱いている赤ちゃんは待ちきれない様子で、清美は恥ずかしがっている場合ではなかった。後ろの男性が動く気配がないので、急かした。「早くして、久美が泣きそうよ」
清美は赤ちゃんが泣くのが一番苦手だった。
結城陽祐は先ほど清美に命じた時は深く考えていなかったが、ぽっちゃりくんが自分の隣に座った今になって、この行為の親密さに気付いた。しかし清美にそう急かされ、他の考えは消え失せた。骨ばった長い指でファスナーを掴み、ゆっくりと下ろしていくと、図らずも清美の温かい肌に触れてしまった。