第204章 二少様、お楽しみのようですね!

沢田浩司が来てみると、健二が病室の入り口に電柱のようにまっすぐ立っていた。

ただし、なぜこの電柱は顔を赤らめているのだろう?

小麦色の肌では赤みは目立たないが、沢田浩司は何者か。

市長の側近として、鍛えられた観察眼を持っている。

「健二、何をしているんだ?」婚約パーティーから直接来た沢田浩司は、スーツ姿で、市長の代理として見舞いに来ており、上品で粋な雰囲気を漂わせていた。

健二は無意識に前に出て、さりげなく沢田浩司の歩みを遮った。「陽祐さんは休んでいます。また後日お越しください。」

「くすくすくす…」

健二の言葉が終わるか終わらないかのうちに、病室から木村久美ちゃんの楽しそうな笑い声が聞こえてきた。

沢田浩司は「本当かい?」

「はい」頬の赤みを無視すれば、健二は平然とした顔つきだった。

沢田浩司は上から下まで健二を観察した。

健二は気まずそうに一歩後ずさりしたが、結城陽祐の前を遮る姿勢は変わらなかった。

「まだ?」夏川清美の声にはすでにいらだちが混じっていた。

「もうすぐだ、もうすぐ」結城陽祐は小さないたずらっ子の手を押さえながら、誤って傷口を引っ張ってしまい、痛みで「うっ」と声を上げた。手に力が入り、ウェディングドレスは脱ぐのは簡単だったのに、着るのがこんなに難しいとは思わなかった。

夏川清美も締め付けられて少し苦しそうだった。

「くすくすくす…」

両親の窮地に面白がって、小さな子供はさらに楽しそうに笑った。

結城陽祐は思わず片手を出して、小さな子供のぽっちゃりした頬を軽く叩いた。「笑っちゃダメだよ」

「くすくすくす、くすくす…」

木村久美はさらに激しく笑い、目を細めて、夏川清美にそっくりだった。

結城陽祐「……」

「もう子供をからかわないで、早くして。誰か来たらどうするの?」夏川清美は子供の笑い声に釣られて笑いそうになりながらも、後ろでもたもたする男性にイライラして、片手で胸元を押さえながら、もう片手でベッドの上で悪戯する木村久美の世話をしなければならなかった。

「すぐだ!」

また一騒ぎが起こった。

病室の外で。

沢田浩司は意味深に、どんどん赤くなっていく健二の顔を見て、突然声を上げた。「まあまあ、陽祐さんも余裕があるんですねえ!」

病室内で、結城陽祐の動きが一瞬止まり、表情が変わった。「沢田、黙れ!」