第233話 幼い頃から愛に飢え、大人になってカルシウム不足

雲さんを落ち着かせた後、夏川清美は直接結城邸に戻った。

この裁判での勝利は、雲さんが林家からの虐待から完全に解放されただけでなく、夏川清美の立場を示すものでもあった。

これからは鈴木の母娘も、林富岡も、彼女たちを陥れようとする前に、よく考え直すことだろう。

しかし、鈴木政博一人が報いを受けただけでは、夏川清美にとって十分ではなかった。

結局のところ、鈴木政博は命令に従っただけで、真の黒幕は鈴木末子母娘だった。

林夏美の死には、真の犯人が罰を受けなければならない。

そして前回の婚約パーティーでの林夏美の襲撃は、また別の問題だ。

夏川清美は、山田麗が前回警察署で調書を取られ、ファンによる襲撃事件について認めたことを知っていた。ただし、あるファンが別のファンに重傷を負わせた件については、山田麗は一切知らないと主張している。

また、室井千鶴は過失であり、殺意はなかったと頑なに主張している。

彼女に発砲した大柄な男については、夏川清美は結城陽祐の部下たちが懸命に捜索していることを知っていたが、未だに手がかりはなく、林夏美が殺し屋を雇った証拠も今のところない。

林夏美の送金記録は完璧に綺麗だった。

夏川清美は前回の事件が林夏美と関係していることを確信していたが、法治社会では証拠が重要で、証拠なしでは全て推測に過ぎない。

推測だけで林夏美を有罪にすることはできない。

まだ証拠を探さなければならない。

この件は長期的な視点で考える必要がある。林夏美の性格を知る彼女としては、決して諦めないだろうことは分かっていた。待つだけでいい。

そして今、夏川清美にとってもう一つ重要なことがあった。それはダイエットだ。

あと数日で木村久美は生後百日を迎え、産後の体も徐々に回復し、運動量を少しずつ増やすことができる。

痩せることについて、夏川清美は非常に執着していた。

しかし、現在は授乳期間中で、減量には慎重を要する。さもないと母乳の量に影響が出る可能性が高い。

痩せることは重要だが、それよりも木村久美の健康の方が気になっていることに気付いた。

両立させるには、食事から運動量、さらには運動方法まで、効果的な長期計画を立てる必要がある。

そう、夏川清美は計算していた。彼女のダイエット計画は一朝一夕にはいかない。