裁判所を出ると、夏川清美は林家の車を見かけた。
林富岡は泣き崩れる鈴木末子を支えながら車に乗せ、林夏美は車椅子に座って、彼女を待っているようだった。
夏川清美は彼らを無視して立ち去ろうとしたが、林夏美は彼女を見つけると、山田真由に車椅子を押してもらって近づいてきた。「あなた、本当に勝ったと思っているの?」
「そうじゃないの?」夏川清美は眉を上げて林夏美を見た。
林夏美は言葉に詰まり、顔を真っ赤にした。こんなに厚かましい人を見たことがなかった。「どれだけ勝てると思っているの?」
「どれだけ勝てるかは重要じゃない。今、私が勝ったってことが重要なの」夏川清美はぽっちゃりした顔で輝くような笑顔を浮かべ、車椅子の林夏美を堂々と見つめた。
林夏美は以前の臆病で、自信がなく、愚かだった夏川清美がこんな風に変わるとは思わなかった。
以前は彼女に話しかけることはおろか、顔を上げることさえできず、その美しい顔は先生さえもはっきりと見たことがないほどだった。それが今では、取り柄のない太った女になったのに、こんなにも自信に満ちている。一体誰が彼女にこんな勇気を与えたのだろう?
林夏美は裁判に負けて、夏川清美から優越感を得ようと思い、ついでに彼女を打ちのめそうとしたのに、まさか夏川清美に返り討ちにされるとは思わず、顔色が悪くなった。そして、元々はこのデブが槙島秀夫と結婚するはずだったことを思い出した。
しかし今や槙島家は彼女のベッド写真と以前の600万円で脅して、数日も経たないうちに槙島家との縁組みを承諾せざるを得なくなるだろう。
一方、自分が最も軽蔑していたこのデブは結城陽祐と婚約しただけでなく、結城家のコネを使って藤原悠真を弁護士として雇うことができた。
最も腹立たしいのは、藤原先生がこのデブを特別扱いしていることだった。
林夏美の顔色が青ざめたり赤くなったりするのを見て、夏川清美は彼女の足に視線を落とした。「私のことを気にするより、自分の足のことを心配した方がいいんじゃない?」