結城陽祐は気分が良かった。それは抱いている赤ちゃんのためだけでなく、彼を心配して沈んだ表情を浮かべている誰かのためでもあった。
そのため、ますます度を越して、手加減しながら木村久美を上げたり下げたりを繰り返した。赤ちゃんはより一層楽しそうに笑い、歯のない小さな口を開け、大きな目を細めた。
傍らにいた夏川清美は、この男は故意にやっているに違いないと思った!
藤堂さんは思わず感嘆した。「久美ちゃんがパパのことをこんなに好きなんですね!」
先ほどまで緊張していた男は、息子の幼い笑い声を聞き、藤堂さんのその言葉を聞いて、細長い琥珀色の瞳で赤ちゃんの顔を見つめながら尋ねた。「パパのこと好き?」
返事は再びくすくすという笑い声だった。
結城陽祐はそれを肯定的な答えと受け取り、自分も笑顔になった。パパという言葉を口にするのは難しいと思っていたが、実際に言ってみると、こんなにも簡単だった。