結城邸。
老人は孫の手に人形を握っているのを見て、目が疑われた。
結城執事を指差して、「老眼鏡を持ってきてくれ」と言った。
しばらくして、老人が老眼鏡をかけると、ちょうど結城陽祐が近づいてきた。老人は目の錯覚ではないと確信した。孫の手に真っ赤な太ったぬいぐるみがあるのは事実だった。これは...どういうことだ?
「陽祐さん、これは...」富康製薬に行ったはずなのに、ぬいぐるみをプレゼントするのか?
「ああ、ぽっちゃりくんからもらったんだ」結城陽祐は言いながら、人形を手で振ってみせた。
後ろにいた夏川清美は、いつ自分がプレゼントすると言ったのか?それに、ぽっちゃりくんって呼ばなくても死なないでしょ?
老人は孫の穏やかな美しい表情の下に自慢げな様子を嗅ぎ取り、キツネのぬいぐるみを見て、「清美の目は確かだね。このキツネちゃんは彼女に少し似ているよ。可愛いね」と素直に言った。
夏川清美はその丸々としたキツネを見て、一体どこが似ているのか?太っているということ?
しかし結城陽祐は喜んで、老人を褒めた。「目が利きますね」と言って、野村黒澤に向かって「残りは私の寝室に置いておいて」と言った。
野村黒澤は急いで運んでいった。
夏川清美はこれらが自分のものだと思っていたので、一瞬...
「これらは?」老人はようやく目だけ見える健二に気づいた。
「ああ、木村久美の服を買ったんです」夏川清美は急いで健二を受け取った。
老人は驚いて二人を見た。「ショッピングモールに行ったの?」この関係の進展は良好だな!
「ついでに」このツンデレな口調は、次男ならではだ。
しかし老人は気にせず、招待状を結城陽祐に渡した。「私の古い友人がチャリティーパーティーを開くんだ。私に来てほしいと言われたが、私のような老人が行っても仕方ない。でも行かないと友人の顔を潰すことになる。君と清美で行ってくれないか。ちょうど清美が君にプレゼントをくれたんだから、お返しをしないとね。パーティーではアヒルの卵ほどの大きさのピンクダイヤモンドの原石が競売にかけられるそうだ。それを買って清美の結婚指輪にすれば素晴らしいだろう」
結城陽祐は断ろうとしたが、後半を聞いて、うなずいた。「うん、いつ?」