第309章 アヒルの卵ほどのピンクダイヤモンドよ!

結城邸。

老人は孫の手に人形を握っているのを見て、目が疑われた。

結城執事を指差して、「老眼鏡を持ってきてくれ」と言った。

しばらくして、老人が老眼鏡をかけると、ちょうど結城陽祐が近づいてきた。老人は目の錯覚ではないと確信した。孫の手に真っ赤な太ったぬいぐるみがあるのは事実だった。これは...どういうことだ?

「陽祐さん、これは...」富康製薬に行ったはずなのに、ぬいぐるみをプレゼントするのか?

「ああ、ぽっちゃりくんからもらったんだ」結城陽祐は言いながら、人形を手で振ってみせた。

後ろにいた夏川清美は、いつ自分がプレゼントすると言ったのか?それに、ぽっちゃりくんって呼ばなくても死なないでしょ?

老人は孫の穏やかな美しい表情の下に自慢げな様子を嗅ぎ取り、キツネのぬいぐるみを見て、「清美の目は確かだね。このキツネちゃんは彼女に少し似ているよ。可愛いね」と素直に言った。