第338章 私は夏川清美の弟です

車を降りた夏川清美は近くのカフェに入り、なつき信託の人に位置情報を送信した。

20分後、20代の気品のある混血の男性が夏川清美に向かって歩いてきた。「こんにちは、なつき信託のCEOのダニエルと申します」

夏川清美は驚いた。こんなに若いの?しかも外国人?

「はじめまして、林夏美です」夏川清美は立ち上がった。

ダニエルは業界で最近話題の女性を見つめ、「お噂は伺っております」

夏川清美は挨拶を省いて本題に入った。「……契約書を見せていただけますか?」

「はい」ダニエルは契約書を夏川清美に渡した。

夏川清美は読み終えて頭が混乱した。本当に結城財閥の株式なの?

「どの結城家ですか?」夏川清美はまだ混乱していた。

「京都の結城グループです」ダニエルは目の前の女性がこんなに大らかだとは思わなかった。彼女がカードの残高すら確認していないのではないかと疑うほどだった。

夏川清美は聞き間違えたと思った。「本当に...間違いないですか?」

実母がなぜ結城グループの5パーセントの株式を持っているの?

「契約書に明確に記載されているはずです」ダニエルは微笑み、青みがかった瞳は海のようだった。

夏川清美は一瞬驚いた。この美しさは結城陽祐と競えるほどだ。

しかし、家族に美形が多いせいか、美しさに対する免疫ができていたのか、夏川清美はすぐに契約書を再度確認し、問題がないことを確認した後、思わず尋ねた。「御社は私の母の株式の由来についてご存知ですか」

「それは弊社の業務範囲外ですが、お母様は15年前に弊社に委託されました。それ以外に、あなたの株式配当金の一部はあなたのカードに、一部は弊社が運用し、残りの一部は矢崎様のご指示により信州市の複数の孤児院の建設に使用されています」ダニエルは混血の顔立ちながら、標準語を完璧に話した。

夏川清美は聞き終えて衝撃を受けた。実母がここまで周到に考え、娘のためにこれほどの財産を用意していたとは思わなかった。

でも待って...15年前?

夏川清美は驚いてダニエルを見た。「何年前に委託されたとおっしゃいましたか?」

「15年前です。林さん、何か問題でもありますか?」ダニエルは不思議そうだった。

大問題だ!