鈴木末子は林夏美よりも慎重だった。
しばらく考えてから娘を見て、「まずは林富岡が明日なつき投資に行った結果を見てみましょう」と言った。
今や結城財閥の5パーセントの株式は、本当に結城財閥の将来の支配者を決めることになる。そんな株式を簡単に売り渡すことなどできるはずがない。
しかも結城財閥だ。5パーセントの株式は数え切れない富だけでなく、権力と地位も意味している。
富康製薬のような小さな会社とは比べものにならない!
それに鈴木末子は不思議に思った。なぜ結城財閥の株式が矢崎若雅の手中にあるのか?そしてなぜ林富岡はこれほど長い間、その株式に手を付けなかったのか?
ここ数年、富康製薬は下り坂を続けており、新薬の研究開発には多額の資金が必要で、会社の状況は一層悪化している。