第349章 鼓動する心を抑えて

「あはははは……」

優雅で古風な屋敷には、大人と子供の笑い声が響き渡り、生活の温もりに満ちていた。

夏川清美は顎を支えながら、賑やかな庭を眺め、心が不思議な満足感で満たされていた。

結城陽祐は誰かに揺り椅子を持ってこさせ、夏川清美の横に置いて、優雅に寄りかかり、まさに悠々自適な公子然とした様子だった。

いくつかのバーベキューグリルの傍らでは、パティシエがお菓子を作っており、肉の香りと甘い香りが混ざり合っていた。野村黒澤と野村越は慣れた様子で地下貯蔵庫から上等なワインを数本運び出し、沢田浩司がその中の1本を奪って焼きたての牛肉にかけた。夏の夜風が軽く吹き抜け、陶酔的な甘い香りを運んでいた。

結城お爺さんは歯固めのおもちゃを持って、穏やかな音楽を聴きながらうとうとしている結城湊くんをあやしていた。