第360章 私はあなたの娘ではない(上)

鈴木末子は病床に横たわる林富岡の落ち込んだ様子を見つめながら、目には冷たい光を宿しつつ、誘うような声で言った。「富岡さん、彼女はあなたの最愛の人を死に追いやった張本人です。あなたはそんなに彼女を憎んでいるのに、本当に財産を彼女に渡すつもりですか?彼女があなたの会社を奪い、病院から追い出したことを忘れないでください……」

彼女は今日、林富岡の心に棘を植え付け、林夏美に財産を残すという考えを断ち切らせようとしていた。

そして林夏美に、彼女が人殺しであり、林家の財産を相続する資格などないことを知らしめようとしていた。

「出て行け!」しばらくして林富岡は真っ赤な目を上げ、鈴木末子に怒鳴りつけた。

鈴木末子は林富岡のことをよく分かっていた。自分が彼の林夏美に対する嫌悪と憎しみを成功裏に煽ったことを知り、冷笑を浮かべながら、夏川清美に挑発的な笑みを投げかけ、病室を出て行った。