第371章 陽祐さん、早く離して!

病室の中。

林富岡の耳はようやく静かになったが、表情は少しも緩んでいなかった。

鈴木末子と十年連れ添って、今日のような事態になるとは、数日前の彼自身も想像していなかった。

しかし、真実が少しずつ明らかになるにつれ、彼が思っていた以上に残酷なものだった。

昨日、弁護士は鈴木末子が最近財産を移転した証拠だけでなく、この数年間で会社の金を流用して外で不動産を購入した証拠、そして彼の血液検査の結果も持ってきた。

その中には、彼が慢性中毒に陥っていたことが明確に示されていた。

そして彼の血液中に含まれていた毒素は、前回鈴木末子が彼に注射した薬物と同じ成分だった。

違いは、前回の投与量が全て体内に入っていれば、彼は間違いなく死んでいただろうということだ。

林富岡は鈴木の母娘に対して決して薄情ではなかったと自負していた。まさか彼女たちがこの数年間、佐藤清美を虐げただけでなく、彼の命まで狙っていたとは。それなのに今になっても、彼が彼女たちを許すと夢見ているなんて!